慢性腰痛の不安と恐怖
「なぜ色々な所に行っても改善しないんだろう?」
「この腰痛はどこから来るの?」
「何回も腰痛を繰り返す理由は何?」
こんな不安や疑問を抱えていると思います。
この記事には慢性腰痛からギックリ腰について、徹底的に解説していきつつ、重要なポイントを記載しますので、ぜひゆっくり読み進めてみてください。
読み終わる頃には、「なぜ私の腰痛が改善しないのか?」が明確にご理解いただけるはずです。
腰痛を徹底解説
腰痛は、人類の8割以上が一生のうち1度は経験すると言われ、特に馴染みの深い病態です。
特に、レントゲンやMRIなどの画像上、問題を確認できない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれています。
非特異的腰痛には、椎間板の問題(椎間板性)、背骨の関節(椎間関節性)、仙腸関節性、筋・筋膜性の4つが大きな問題を引き起こしていると言われています。
腰痛は大きく以下の2つに分類されます:
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急性腰痛: 数日から数週間で改善する一時的な痛み。ぎっくり腰などが含まれます。
急性腰痛症は「魔女の一撃」とも呼ばれ、荷物を持った瞬間や、姿勢を変えた瞬間に
”ビッキーン!”と鋭い痛みが走ります。そのあとは立っているのも歩くのも辛い状況になり、ひどい時は動けない状態になることも珍しくありません。荷物は軽いものでも発生し、姿勢や体勢を気をつけていないタイミングで起きることがほとんどです。
日常生活では、お風呂掃除、洗濯物、床掃除、荷物整理で起こることも多いので、私たちにとっては馴染み深いと言えます。 -
慢性腰痛: 急性腰痛症からなからなか腰痛が改善せず3か月以上続く長期的な痛みを慢性腰痛と呼びます。この時点では急性腰痛を発症した時の鋭い痛みは無くなり、”ズーン”と重い痛みが持続的に続いている状態です。
長時間の座り仕事や立ち仕事で痛みが出てくることが多く、同じ姿勢でいるのがとても辛い状況です。
痛みがひどい時は寝ている時もズキズキと痛み、色々な体勢を試してみても痛むため眠りが浅くなります。睡眠障害は痛みの回復を遅らせ、慢性腰痛が続く要因となります。
腰痛で最も知っておいて欲しいこと
腰痛には、画像初見で原因を特定できる「特異的腰痛」と画像初見で原因を特定できない「非特異的腰痛」の2種類で大別されます。
西洋医学などの医療機関が発展・発達している日本では、「原因が分かっている腰痛の方が多いでしょ?」と感じるかもしれません。
ですがこの画像をご覧ください。
こちらの画像は、日本理学療法士協会が腰痛の資料として使用している画像で、引用いたしました。
この画像から分かるのは、
・画像から腰痛の原因が分かるのは、全体の15%
・画像から腰痛の原因が分からないのは、全体の85%
「ほとんどの腰痛は画像所見では分からない」
もしあなたが今「専門機関へ行っても改善しない」とお困りなのであれば、画像では分からない部分に”痛みの本当の原因”があるので、もしかすると現在行なっている施術は、原因とは違うポイントの可能性があります。
もっと驚くべきは、腰痛のない人の76%にMRI上で腰椎椎間板ヘルニアがあったという報告もあります。
ここから言えるのは、ヘルニアなどの背骨の問題も腰痛とは直接的なつながりはない、ということです。
痛みがなかなか改善しないのは、あなたのせいではありません。
そもそも痛みの原因が検査できていことが要因ではないでしょうか?
腰痛は社会問題
日本における腰痛の影響は非常に大きく、国民生活基礎調査によれば、2022年の腰痛の有訴者率が男女ともに最も多く訴えられる自覚症状となっています。
また、別の調査では、腰痛の有病率は全体で37.7%(男性34.2%、女性39.4%)と報告されています。
腰痛は日本の労働者に大きな影響を及ぼしており、休職や経済的損失の主な要因となっているので、国も何とかしたいと考えています。
具体的に、腰痛は「4日以上の休業を要する職業疾病」の約6割を占める労働災害。
また、腰痛による社会的損失は年間約3兆円と試算されています。
これらのデータから、腰痛が日本の労働環境や経済に多大な影響を及ぼしていることがわかります。
腰痛は「私も大変、会社も大変、経済も大変」という大きなネガティブ要因を持っています。
あなたの腰痛で当てはまるのは?
腰痛の85%が画像では原因の分からない「非特異的腰痛」であることはお伝えしました。
その中で腰痛の種類は椎間板の問題(椎間板性)、背骨の関節(椎間関節性)、仙腸関節性、筋・筋膜性があります。
詳しく掘り下げていきますので、あなたの腰痛はどの腰痛に当てはまるのか?
ゆっくり読み進めてみてください
椎間板性腰痛
椎間板性腰痛とは、背骨と背骨の間にあるクッションの役割である、”椎間板”の問題によって発生します。
椎間板性腰痛は、椎間板自体が痛みの原因となる腰痛の一種であり、特に20~50代の労働世代に多くみられることが特徴と言えます。
詳しい研究データでは以下の内容が示されています
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椎間板性腰痛は、腰痛の約13%を占めるとされている(腰痛ガイドライン)。
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日本国内の調査では、職業性腰痛の約35%が椎間板由来であると報告されている(日本整形外科学会、2021)。
○椎間板性腰痛が出てしまう詳しい要因は?
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椎間板は、外側の線維輪と内側の髄核から成り、加齢や外傷により線維輪に小さな亀裂が生じることで、炎症反応が起こり痛みを引き起こす。
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長時間の座り作業、反復する前屈動作、重量物の持ち上げ動作(荷物が軽くても傷つくこともあります!)が線維輪を傷つけ、炎症させる要因として知られています
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痛みの主な原因は、線維輪に存在する自由神経終末という痛みを感じる神経や受容器が刺激を受けることで発生します。
○椎間板性腰痛の症状
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持続的な腰痛: 動作や体勢によって変化し、特に長時間の座位や前屈で悪化する。
痛みとしては”ズーン”と鈍い痛みが続きます。 -
放散痛は少ない: 坐骨神経痛のような神経症状はほとんどなく、下肢への強いしびれは伴いません。
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朝に痛みが強い: 実は、椎間板内の水分量は夜間に増加し、朝起床時に圧力が高まるので、椎間板に傷がついている場合は朝に痛むことが多いです。
○椎間板性腰痛へのこれからの対策
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椎間板性腰痛の90%は保存療法で回復するというデータが出ています!
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適切な椅子とデスクの高さの調整をすることで椎間板への負担が少なくなります。
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長時間の座位を避けるためのスタンディングデスクの活用をすると、椎間板へのストレスが軽減します。
立っている姿勢が疲れたら、低い台のようなものに片脚ずつ乗せて作業するのもオススメです。 -
荷物の持ち上げ方を気を付ける(膝を使い、腰を曲げずに持ち上げる)。
軽いものだとついつい油断してしまうのですが、その時に椎間板に負担がかかることが多いです。
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椎間関節性腰痛
椎間関節性腰痛は、背骨の後ろにある椎間関節が原因で生じる腰痛です。
椎間関節は背骨1つ1つの動きを滑らかにし、体重を分散する役割を果たします。
運動不足や外傷、長時間の不適切な姿勢によって負荷がかかり、炎症や変性が進行することで痛みが生じることが多いです。
椎間関節性腰痛は、加齢や長時間の姿勢によって起こりやすいので、比較的年齢が高く、筋力が衰えている方、座り仕事でデスクワークなどを長時間行っている方は椎間関節性腰痛になりやすいと言えます。
詳しい研究データでは以下の内容が示されています
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椎間関節性腰痛は、慢性腰痛の約22%を占めるとされている(腰痛ガイドライン)。
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日本国内の調査では、腰痛の約30%が椎間関節由来であると報告されている(日本整形外科学会、2022)。
- 職業性腰痛の約20%は椎間関節性腰痛が関与(日本産業衛生学会、2022)。
○椎間関節性腰痛が出てしまう詳しい要因は?
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加齢による関節の変性: 椎間関節は加齢とともに軟骨が摩耗し、関節炎を引き起こすことがあります。軟骨の摩耗にはお腹の筋肉や、背中周りの筋肉、太ももやお尻の筋肉が衰えることで磨耗しやすくなります!
なので、普段からスクワットや山登り、トレッキング、太極拳をやっているのは、椎間関節性腰痛を改善する上でも、予防する上でもとても重要だと言えます。
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姿勢の影響: 長時間の前屈姿勢や反り腰(過度な腰椎伸展)が関節に過負荷を与え、痛みを誘発します。
注意したいのが座り仕事をしている時に意識的に腰椎を反り腰にして良い姿勢を保とうとする方が居らっしゃいます。反り腰の姿勢を意識的に行うと、実は「腹圧が下がり、逆に腰骨が不安定になる。」と言えます。それは、反り腰姿勢そのものが、お腹周りの筋肉や腰骨を支える多裂筋という筋肉が適切働きづらくなるからです。
腹圧を高める上で大切なのは、呼吸を深くすること。
これで腹圧が高まり、しっかり腰骨を支えられるようになるので、座り仕事が多い方は特に、”呼吸”に意識を向けてみてください -
椎間板変性の影響: 椎間板が変性すると、脊柱全体の荷重バランスが崩れ、椎間関節へのストレスが増加します。
そのため、椎間板性腰痛と椎間関節性腰痛が併発していることもあります。椎間板や椎間関節に最もストレスを与える姿勢はこちらの画像を参考にしてみてください。
画像:Nachemson.1976引用
こちらの画像では、「姿勢別で腰椎への負担度合い」を表した図です。立っている時を100%とした時、座っている方が椎間板や椎間関節に負担がかかりやすく腰が痛くなりやすいです。
さらに、座って前傾や座りながら作業(内職や製造)している状態が最も負担がかかるのです。ということは、
・デスクワークで前傾姿勢になる
・事務作業で前傾姿勢になる
・座りながら重さのあるものを持って(軽くても)作業をする
これらは常に椎間板と椎間関節に負荷をかけ続け、腰痛の要因を作っていると言えます!予防策としては、
・椅子に深く座る
・呼吸に意識を向け、呼吸しやすい姿勢を心がける
・作業する際は出来るだけ肘をつけたり腕が安定する姿勢を心がける
こういったことが大切になります。 -
過剰な動作やスポーツ: ゴルフ、テニス、バドミントン、野球やハードな筋力トレーニング(重量がきついスクワット、デッドリフトなどは特に)などの腰をひねったり、重量が掛かることが多いスポーツは、椎間関節への負担が大きくなります。
腰をひねる動きには、
・足首
・首
・肋骨
これらの動きが柔軟だと腰に負担がかかりにくくなります。
スポーツをする前はこれらのストレッチを心がけると良いです!併せて、重い重量を扱う時には、一度腹圧を高めてからトレーニングをすることがオススメされます。
軽い重量から徐々に始めるのは勿論なのですが、トレーニングをする前に、ダイアゴナルやプランクを実施してからトレーニングを開始することを強くオススメします。
○椎間関節性腰痛の症状
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局所的な腰痛: 椎間関節周囲の痛みが特徴で、痛みが広範囲に広がることは少ないです。
自分自身で痛みのポイントを確認してみても「ここ!」と指一本で指し示せるのが特徴と言えます。 -
立位や後屈で悪化: 立った状態や後ろに反る動作で痛みが強くなります。
これは背骨と背骨をつなぐ関節の”椎間関節”の動きが悪くなるため、体を前屈するよりも、後屈する動きで痛みが強くなるのです。日常生活では、
・靴紐を結んでいて、姿勢を戻す(後屈する)動きで痛みが出る
・掃除機をかけていて、姿勢を戻す時に腰が痛い
・座り作業から立つ瞬間に痛い(背筋を伸ばす)
・洗濯物を干す時に痛い(上を見上げて背筋を伸ばす)
こういった場面で痛くなることが多いです。 -
朝のこわばり: 起床時に痛みやこわばりが強いです。腰椎の椎間関節が動きにくくなっているためそもそも寝返りがし辛いことも要因と言えます。
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坐骨神経痛様の症状が出ることも: 椎間関節周囲には、腰の神経を取り囲んでいる筋肉や柔らかい組織がたくさんあります。椎間関節性腰痛では、関節を覆っている関節包なども炎症を引き起こすため、神経を取り囲んでいる組織に栄養が行き渡りづらくなったり、血液不足になるため、足の痺れが起きることもあります。
○椎間関節性腰痛へのこれからの対策
椎間関節性腰痛は85%が保存療法で回復しているというデータが出ています!
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デスクワークの工夫:
デスクワークを行うときは、パソコンの画面を見ると思います。
・パソコン画面の高さは、自分の目とパソコン上部の画面が平行になる高さ
・両足はしっかり床につく
・肘は90度に曲げられる高さに調整
(必要であれば昇降式の机やパソコンモニターを調整するものがあるとバッチリ!)
・肘置きがあると尚良い
・背筋をわざと伸ばす意識では反り腰になりかえって腰を痛めるので、
「天井に伸びている糸が自分を支えている」イメージで座る
・あごを引く
・呼吸をラクーにする
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長時間座る際は、腰をサポートする椅子があると良いです。
柔らかめのクッションを使う方が居ますが、姿勢が悪くなる要因になりやすいので少し硬めのクッションを使用することが望ましいです。
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体幹強化と姿勢改善:
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ピラティスやヨガ、太極拳を活用したバランス強化。
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有酸素運動:やはり歩くのは正義です!少し工夫していただきたいのは、単純に道路を歩くだけではなく、芝生の上や砂利道の上を歩くと、足裏のアーチが鍛えられてバランスが良くなります。これがスポーツのパフォーマンスや高齢層の転倒予防にも繋がります。
後歩きや横歩きなども、とても腰痛に対して効果的です。
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日常生活での注意点:
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過剰な反り腰を避ける。意識して姿勢を正すときに腰を反るのは控えてください!
「天井から伸びている糸が頭上から引っ張ってくれている意識」で立てると良いです -
腰に優しい寝具を選ぶ:よく整体院をご利用される利用者様からご質問されるのですが、寝具は低反発や柔らかすぎるものは腰を痛める可能性が非常に高いので、高反発マットレスや綿布団が重ねて寝るのが1番良いです!
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仙腸関節性腰痛
仙腸関節性腰痛は、妊娠・出産経験者やスポーツ選手に多く見られるのが特徴です。
仙腸関節は強力な靭帯で囲まれていて関節そのものを保護しています。
「強力な靭帯で覆われている仙腸関節は動かないんじゃないか?」
そう思われる方も多いのですが、実は3〜4°くらい動いていることが実験結果から分かっています。(骨盤前傾位や静止立位では約3°、骨盤後傾位では約4°)
そして、仙腸関節周囲には「感覚を受け取る受容器」がたくさん存在しています!
仙腸関節にストレスが加わると、その受容器がたちまち痛み信号を受け取り、「アイタタ・・・」となってしまうのです。
さらに、妊娠中の女性は出産するためにさまざまなホルモンが出ています。
その中には出産する時にお母さんの体を守り、出産しやすくするリラキシンというホルモンがあります。
リラキシンは卵巣や胎盤から分泌されるのですが、妊娠初期から出始め、出産間近になると大放出され骨盤周りの靭帯や結合部分が柔らかくします。
こうすることで骨盤が開き、赤ちゃんが出やすくなるのです。
産後もリラキシンの分泌は続きだいたい半年で終わると言われていますが、ある研究データでは3〜8ヶ月でリラキシンの分泌量が少なくなるとも言われています
リラキシンが分泌されている間は、関節が柔軟になるので、それだけ関節の「不安定さ」が強くなります。
そのため、妊娠中は少し立っていたり座っているだけでも腰がキツくなりやすいと言えます。
実は、生理中にもリラキシンは放出されることが分かっており、生理中に腰の痛みが出るのはリラキシンの影響もあることが分かります。
仙腸関節性腰痛はほとんどが回復することが分かっているのでご安心ください!
詳しい研究データでは以下の内容が示されています。
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慢性腰痛の約6%が仙腸関節由来であると報告されている(腰痛ガイドライン)。
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妊娠中および産後の女性の約50%が仙腸関節の痛みを経験するとされている(Obstetrics & Gynecology, 2020)。
○仙腸関節性腰痛が出る要因は?
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仙腸関節の機能異常: 仙腸関節は非常にわずかな動きしかありませんが、無理なねじれや重心の偏りによって炎症や機能異常が生じることで仙腸関節由来の腰痛が発生します。
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妊娠・出産による影響: 妊娠・出産後・生理中に分泌されるリラキシンというホルモンが関節の靭帯を緩めることで、不安定性が増し痛みを引き起こします
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スポーツや外傷: 片側の過度な使用やランニングなどの衝撃により、仙腸関節のバランスが崩れることがあります。
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長時間の座位や立位: いわゆる猫背姿勢(仙骨座り)で長時間のデスクワークや座り仕事をしていると、仙腸関節の負担が増加し、炎症が起きたり血流不全を引き起こすことで仙腸関節性腰痛を発生させます
○仙腸関節性腰痛の症状
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片側の腰部または骨盤の痛み: 腰椎よりもやや下の仙腸関節(ぽこっと骨が出ているポイント)に痛みが出ることが多いです。
この時、セラピストは「どこが痛いですか?」とお聞きした時に、指一本で指し示していただいた所が仙腸関節付近だと仙腸関節性腰痛を疑います。他の腰痛よりも仙腸関節性腰痛は局所が痛くなるので、指一本で痛いポイントを指し示す、”ワンフィンガーテスト”が有効です。
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歩行や片足立ちで痛みが増強: 長時間の歩行や階段の昇降、長時間の立位で痛みが強まります。
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座位での痛み: 長時間座ると痛みが増し、姿勢を変えると緩和することが多いです。
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殿部から太ももへの放散痛: 坐骨神経痛に似た症状が出ることもありますが、膝より下に痛みが及ぶことは少ないです。
○仙腸関節性腰痛へのこれからの対策
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正しい姿勢の維持:
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過度な前傾や片足荷重を避ける。
- 性能の良い靴を履く。性能の良い靴とは
・かかとが潰し履きできないくらい硬い素材が入っているもの
・ヒモが結べるもの
・靴底が厚く柔軟性があるもの -
姿勢を意識し、骨盤を安定させるエクササイズを実践。
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ストレッチと体幹トレーニング:
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足首や股関節周囲の柔軟性の維持。
足首は体の中で唯一地面と接している部位です。
体の土台は足首と言っても過言ではありません!アメリカの足病医学会では、「痛みの80%以上は足から来ている」とデータを出しているくらい足は大事です。
足首回しや足指を開くストレッチは股関節や腰椎も柔らかくしてくれます。
お風呂の中、入浴後に実施すると更に効果が高まります。 -
プランクなどの体幹トレーニングで仙腸関節を安定化。
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産後ケアの充実:
筋・筋膜性腰痛
筋・筋膜性腰痛は、腰部の筋肉やその周囲の筋膜に存在する「トリガーポイント」(痛みの引き金となる部位)を原因とした痛みで、慢性的な腰痛の中でも非常に一般的なタイプです。
筋肉は聞いたことがあっても”筋膜”は聞き馴染みがない方もいらっしゃると思うので、説明させていただきと、筋肉には”筋膜”と呼ばれる薄い膜組織で包まれています。
筋膜はいろんな種類があり、
・浅筋膜
・深筋膜
・筋外膜
・筋周膜
・筋内膜
などがあります。
筋膜は皮膚と一緒にミルフィーユの層のようになっており、それぞれの筋肉が活動しやすいように調整しています。
筋膜は通常であれば、右図のように綺麗に配列されていますが、重心が偏ってしまうことで、筋膜や筋肉の並び方がグチャグチャになり痛みを感じやすくなったり、血流循環が悪くなることで疲労物質の蓄積も起こります。
綺麗な筋膜の配列はこの画像乱れた筋膜の配列はこちら
詳しい研究データでは以下の内容が示されています。
- 腰痛全般は非常に多い症状ですが、そのうち筋・筋膜性の要因が関与するケースは30~70%と報告されています。
- 慢性腰痛を対象とした臨床調査では、触診により明確な圧痛点や硬結が認められる症例が全体の半数以上に上るという報告もあります。
- 慢性腰痛の18%は筋・筋膜性腰痛が関連していた(腰痛ガイドライン)
- リハビリテーション施設での調査では、慢性腰痛の約50~60%において、筋・筋膜性の圧痛点が認められたという報告があります。
○筋・筋膜性腰痛が出る要因は?
- 長時間の同一姿勢:近年ではデスクワークやスマートフォン操作などが要因になっていることが主な理由です。そもそも人間の体は、座っている姿勢に適した構造ではありません。
骨盤の図を見てもらうとわかるのですが、座っている部分の”坐骨”は丸みを帯びており、不安定な構造をしています。座って長時間作業していれば、座る姿勢そのものが不安定だと作業の集中を欠いてしまいます。そのため、安定させる姿勢になるため、猫背姿勢や仙骨座りという姿勢をとってしまうのです。
- 過度の身体的ストレス:全身を使った運動はとても良いのですが、ずっと同じ姿勢の立ち作業や配送業や検品などは長時間、同じ姿勢を強いられています。
すると、同じ筋肉や筋膜にしか負荷がかからないのです。局所にずっとストレスがかかり続ければ、痛みを引き起こす「トリガーポイント」になりやすく、何かのキッカケでギックリ腰(急性腰痛症)を引き起こしてしまうことも珍しくありません!
- 運動不足による筋力低下:運動不足は、筋力低下、筋膜の歪みや回復の遅れ、トリガーポイントの悪化などを引き起こします。
運動する時は、”全身運動”を行うのがよく、局所的に負荷をかける筋力トレーニングをするよりも、優先的に有酸素運動を実践するのがとても良いです。
- 精神的ストレスや疲労の蓄積:精神的ストレスは姿勢にも影響を及ぼします。
不安になったり恐怖心があると体って縮こまりますよね?体と精神は直接繋がっていて、感情にもダイレクトに影響を及ぼします。
例えば、「腰痛はイライラと関係がある」と言っている機関もあるくらいです。
○筋・筋膜性腰痛の症状
- 局所圧痛:特に背中にある脊柱起立筋、姿勢を支える腸腰筋周囲に明確な圧痛点や硬結が認められます。
腸腰筋は股関節にも影響を及ぼすので、ソケイ部の痛みを引き起こすこともあります。 - 痛みの放散:トリガーポイントを刺激すると、おしりや太ももに痛みが広がることがよくあります。
- 一定の動きをすると痛む:長時間の座り姿勢や立ち仕事、特定の動作である物を持ち上げたり、ねじり動作などで痛みが悪化する。
- 痛みの再現性:筋・筋膜性腰痛では、一定の動作をした時に痛みが起こります。セラピストが痛みと繋がっているポイントを押圧すると、一定の動作の時に感じる「いつもの痛み」が再現できます。
○筋・筋膜性腰痛へのこれからの対策
- ストレッチ:筋・筋膜性腰痛は特に、ふくらはぎ、足指の間の筋肉と強い繋がりがあります。
そのため、お風呂に入っている時や、お風呂上がりに柔軟体操をしてもらえると、筋・筋膜性腰痛が改善しやすいです
- 筋力トレーニング:特に体幹(コア)の筋力強化により、腰部への負担軽減を図ることができます。
プランク動作や仰向けでお尻上げなどを呼吸を止めずに実施することで、体幹の筋力強化になります。
最初は、「正しいフォーム」で運動することに集中し、数をこなさなくても全然大丈夫です!
ご自身のペースで良いので、ゆっくり慎重に実施してみてください
- 筋膜リリース:ご自身でできる方法としてはフォームローラー(筋膜ローラー)を使うと便利です。使い方のコツとしては、全身にフォームローラーを当て、「痛気持ち良いポイント」に呼吸を止めないようにしながら圧を加えトリガーポイントの緩和を狙っていきます。
決して息が止まるような強い刺激はNGです。
痛すぎるとかえって炎症反応が強くなり、回復が遅れてしまう可能性もあります。
弱い刺激で心地良いくらいに留めておくのが吉です! - これらのことを踏まえ、一部の研究では、8週間程度のリハビリプログラム実施後に、機能評価が約15~20%改善した例もあります。
そのため、最初は効果が実感できなくても”継続”していれば良くなることが分かっています。
まとめ
さて、ここまでご一読いただき、ご自身に当てはまる内容はございましたか?
腰痛と一言で言っても様々な要因があり、入り組んでいることも多々あります。
例えば、仙腸関節性の腰痛と筋・筋膜性の腰痛がどちらも要因になっている、というものです。
そうなってしまうと、なかなかご自身でセルフトレーニングやエクササイズをしても改善しないケースもございます。
色々な専門機関へいき、自分でできることもやってみた上で改善できなければ、その時は最後の砦として当院にお声かけいただければと思います。
なかなか痛みや不調が改善せずに仕事に支障が出ていたり、いつも出来ていたことができなくなるのは、不安になったりウンザリする気持ちも痛いほどよく分かります。
1人で悩まず、お気軽にご連絡いただければ幸いです。
電話やメール、LINEいずれも対応しております!
ここまで大切なお時間を取って読んでいただきありがとうございました
少しでも、あなたの助けになることを願っています。