脊柱管狭窄症の不安と恐怖
「なぜこんなに腰が痛いんだろう?」
「この神経痛はどこから来るの?」
「手術だけはしたくないんだけど…」
こんな不安や恐怖心を抱えていると思います。
この記事には脊柱管狭窄症において今後の道標になる重要なポイントを記載しますので、ぜひゆっくり読み進めてみてください。
脊柱管狭窄症を徹底解説
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)は、背骨の中にある”脊柱管”が狭くなることで、脊柱管の中を通る神経(馬尾神経や神経根)が圧迫されることで、足のしびれや強い腰痛が引き起こされます。
脊柱管狭窄症は、一般に50歳頃から発症し、加齢とともに増加する傾向にあります。
70歳以上の高齢者には、2人に1人の割合で発症する確率があり、比較的多くの方が悩まされる病態ともいえます。
脊柱管狭窄症で有名なのが間欠性跛行(かんけつせいはこう)。
間欠性跛行は、歩いているとき、足全体に痛みやしびれが起きて歩き続けることが難しくなります。この時、しばらく休むと症状が改善して再び歩けるようになる状態を指しています。
間欠性跛行の特徴としては、
・しびれや痛みが主におしりから太もも、ふくらはぎに広がる
・前かがみになると痺れや痛みがだいぶ楽になる(なので自転車を漕ぐことは出来ます)
・休むと短い時間で痛みや痺れが改善し、再び歩けるようになる。
少し心当たりがありますか?
当てはまったとしてもご安心ください!
その理由は下へ続きます。
脊柱管狭窄症で最も知っておいてほしいこと
ここで大切なデータをお伝えします。
2011年の日本整形外科学会による「腰部脊柱管狭窄症ガイドライン」では腰部脊柱管狭窄症において、軽度または中等度の症状が出ている脊柱管狭窄症の1/3ないし1/2では自然経過でも良好な予後が期待できると証明されています。
なので、2人のうち1人は自然回復している、という統計データがちゃんと取れているのです。
しかし注意するべきは、改善するものを全く何もせずに放置していると、やはり改善率は下がります。
そのため、”何が本当の原因なのか?”、あなただけに合っている検査や施術を実施し、しかるべき対応をすることで2度と腰痛や坐骨神経痛に悩まされない体にしていくことが大切だと考えます。
脊柱管狭窄症の原因は?
脊柱管狭窄症は色んな原因によって引き起こされます。
詳しく説明させていただくので、少しでも実りあるものになると嬉しいです。
年齢による変性
脊柱管は年齢を重ねると少しずつ硬くなったり、変形したりします。
そもそも、30代以上になると50%以上の人に脊柱管狭窄の変性が見られ、60代以上では90%以上の人に脊柱管の変性があるとまで言われています。
ここでとーっても大事なのは、変性があるからと言って、直接痛みや痺れと関係ありません!
なぜなら60代以上の方々のなんと90%以上の人に脊柱管に何かしらの変性があるとデータが出ていますが、全人口の90%の人が坐骨神経痛などの痺れが出ているわけではないからです。
脊柱管狭窄症の問題になる要因をまとめていきます。
・椎間板の膨隆:加齢に伴い椎間板が変性し、脊柱管に突出することで脊柱管や神経根を圧迫するようになります。
・椎間関節の変形:背骨と背骨の間にある関節を「椎間関節」と呼んでいます。
若い時から猫背だったり、どちらかに重心を偏らせていると、姿勢が歪んでいきます。
年齢を重ねると、骨を支える筋肉も少なくるため、脊柱にストレスがどんどん加わっていきます。そうすると、骨に棘のような変形が出来ます。
これを骨棘(こつきょく)と言い、骨棘が成長してくると、脊柱管を狭めることにつながります。
・黄色靱帯の肥厚:脊柱に存在する靭帯の1つである黄色靭帯は、加齢や栄養状態の悪化、炎症によって厚くなります。靭帯が厚くなると、神経をどんどん圧迫し痺れを引き起こします。
先天的要因
先天的要因とは、生まれつき備わっている特性や影響のことを意味してます。そのため、遺伝的な要素や生物学的要素によって決まることが多いです。
・発育不全:遺伝的な要因によって、元々生まれつきで脊柱管が狭くなります。
お母さんのお腹にいる頃に、骨の成長を助けるビタミンDなどが不足しても起こると言われてます。
・脊椎分離症:発育期における椎間板や骨の異常によって発生。
ビタミンDやカルシウム、たんぱく質不足によって起きます。
外傷や疾患
先ほどお伝えした先天的要因とは異なり、生まれた後の要因によって発生する問題です。
これは後天的要因と言え、怪我や自己免疫疾患なども含まれます。
・外傷性損傷:スポーツをやっている方には特に多いです。外仕事に従事されている方は、高い所から落下することで脊椎骨折や脱臼によって脊柱管が狭窄することがあります。
・腫瘍:脊柱管内の腫瘍が神経を圧迫します。この場合、ちょっとした痺れや足先の違和感など、「いつもと違った感覚」になるのが特徴的と言えます。
・炎症性疾患:自己免疫疾患(自分の細胞を自分で攻撃)であるリウマチ性疾患や感染症による脊柱管狭窄もあります。そもそも炎症が起きてしまうと、神経痛や腰痛にもなりやすいと言えます。
脊柱管狭窄症のそれぞれの分類
脊柱管狭窄症は、狭窄の部位や範囲に応じて分類されます。
- 中央型の狭窄:
脊柱管全体が狭くなる。
馬尾神経への圧迫が中心です! - 外側型の狭窄:
神経根が椎間孔(脊柱管から外に出る孔)で圧迫。 - 神経根型の狭窄:
神経根が椎間孔を超えた部分で圧迫される。
脊柱管狭窄症の神経圧迫タイプ
1、神経根型
●症状
・足の痛み(主に片側)
・坐骨神経痛
・おしりの痛み
・足のこむら返り
●痛み、痺れの部位
・おしり
・大腿部後面
・ふくらはぎの外側
一言メッセージ:
片側の痛みが出ることが特徴の神経根型は坐骨神経痛や痺れがあっても、その後の経過が良好とされています!
しっかりと体の状態を整えることでほとんどが回復すると言われているので、諦めないでください!
2、馬尾型
●症状
・両足の痺れ、脱力
・歩行時の足の脱力
・肛門周りの痺れ
・排尿障害
・足底の強い感覚異常
●痛み、痺れの部位
・肛門から太ももの内側
・両ふくらはぎ以下
・両足底部分
一言メッセージ:
馬尾型は両足の強い痺れが出たり、太もも周りの筋肉が萎縮することが特徴的です。
歩いている時も足に力が入らず、ペタペタ歩き、足底の感覚がほとんどありません。
最も尿が勝手に出てしまう、便意が分からないなどの状態では早急に専門機関へ行くことが重要です。
3、混合型(神経根型+馬尾型)
●症状
・神経根型と馬尾型を合わせた症状
●痛み、痺れの部位
・神経根型と馬尾型の混合型
一言メッセージ:
混合型では、神経根型と馬尾型の症状が出てくるのが特徴です。
坐骨神経痛や殿部の痛み、感覚の鈍さなど。
混合型でも、神経根型での圧迫要素が強ければ、より回復しやすいと言えます。
馬尾型の症状である、排尿障害や排便障害がある場合は、早急に専門機関へいくことが望ましいです。
脊柱管狭窄症の病態別の分類
・機能的狭窄:
脊柱の動きや体位で症状が変化するのが特徴です。
ちなみに脊柱管狭窄症では腰を反らすことで悪化し、腰を曲げることで症状が良くなります。
これには、腰を反らすことで脊柱管がより狭くなることによって発生します。
・解剖学的狭窄:
背骨が生まれながらに変形していたり、生活環境の中で背骨そのものに負担がかかり、徐々に変形することによって発生します。
解剖学的狭窄は永続的な狭窄で、症状が持続するような状態。
脊柱管狭窄症の詳しい症状
ここからは、脊柱管狭窄症の代表的な症状をお伝えしていきます。
・間欠性跛行:
歩行中に足のしびれや痛みが現れ、休憩で軽減します。
この時、膝に手をついて休憩することで(体を曲げることで)回復します。
歩行して大体5分から10分くらいすると痺れや痛みが出てくるのが特徴的です。
・下肢のしびれや感覚障害:
特にお尻から太もも全体、ふくらはぎにかけて広がります。
広く神経症状がある方では、足先まで痺れが出ている方もいらっしゃいます。
膝蓋腱反射やアキレス腱反射なども低下します。
・筋力低下:
長期的には下肢の筋力低下が進行していきます。
特に、太もも周りの周径を行うと、痺れがある足と痺れを感じない足では太さが異なります。
坐骨神経痛や感覚鈍麻が進行すると、ふくらはぎの外側が痺れたり、足先が痺れたりしますが、ふくらはぎの部分でも”筋萎縮”が発生し、集計に左右差が生まれます。
・腰痛:
脊柱管狭窄症の痛みは、ギックリ腰(急性腰痛症)とは違い、慢性的な鈍い痛みが持続します。
そのため、寝ている時も起きている時もズキズキするような鈍い痛みが続きます。
特徴的なのは、お風呂に入っているときも持続的に痛みを感じ、筋肉や関節が柔らかくなっていても痛みは続きます。
脊柱脊柱管狭窄症の回復を爆上げする秘策
脊柱管狭窄症を回復させるには3つの”不足”を解消していくことが1番の近道です!
それには、ご自身で生活習慣を見直し、「自分で改善させるぞ!」という意識がとーっても重要です。
脊柱管狭窄症の生活習慣で気をつけるべき不足は以下の3つです
・栄養不足
・筋力不足
・睡眠不足
1つずつ、掘り下げていきます。
①、栄養不足
脊柱管狭窄症の1つの原因である「黄色靭帯の肥厚」は炎症が続いたり低酸素状態が続くことが要因とされています。この時、炎症を抑える作用がある栄養がとても良いです。
炎症を抑えるビタミンは以下を参考にしてみてください。
1. ビタミンC
- 効果: 強力な抗酸化作用があり、フリーラジカル(活性酸素)を抑え、炎症を軽減する。
- 食品例:
- 柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)
- キウイ、パプリカ、ブロッコリー、イチゴ
- ポイント: コラーゲン合成をサポートし、免疫機能を高める効果もあります。お肌や背骨の軟骨、椎間板にも良いですね!
2. ビタミンE
- 効果: 抗酸化作用が強く、炎症性サイトカインの生成を抑えます。
- 食品例:
- アーモンド、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種
- サーモン、ほうれん草、アボカド
- ポイント: 脂溶性ビタミンなので、脂質を含む食品と一緒に摂取すると吸収が良いです。
そのため、お肉と一緒に食べれると良いです。付け合わせに使ってみてください!3. ビタミンD
- 効果: 免疫調整作用があり、慢性炎症や自己免疫疾患に関連する炎症を軽減させます
- 食品例:
- 鮭、サバ、イワシなどの脂肪分の多い魚
- 卵黄、キノコ類(特に紫外線を浴びたもの)
- 日光浴(皮膚で合成)
- ポイント: ビタミンD不足は慢性炎症や免疫異常に関係しているため、十分な摂取が重要。
ビタミンDはお日様に当たることでも生成されます。
痛みや坐骨神経痛があると、運動すること自体が億劫になるかと思います。ですが、栄養の観点でもお日様に出て運動することは科学的に証明されている「効果のあること」なので、できる範囲で実践してみてください
4. ビタミンA
- 効果: 炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を抑制し、細胞修復を促進します。
- 食品例:
- レバー、卵黄
- にんじん、カボチャ、ほうれん草(βカロテンとして)
- ポイント: ビタミンAは脂溶性なので、オイルと一緒に摂取すると良いです。
続いて、炎症を抑えるミネラルは以下をご参照ください!
1. 亜鉛
- 効果: 免疫機能を調整し、炎症を引き起こす物質の生成を抑える。
- 食品例:
- 牡蠣、牛肉、鶏肉
- ナッツ類(カシューナッツ、アーモンド)
- 豆類(ひよこ豆、レンズ豆)
- ポイント: 免疫系の健康に必須で、傷の治癒や細胞修復もサポートします。
2. セレン
- 効果: 強力な抗酸化作用を持ち、細胞を酸化ストレスから守ります。
- 食品例:
- ブラジルナッツ
- シーフード(マグロ、エビ、サーモン)
- 全粒穀物、卵
- ポイント: 少量で十分ですが、不足すると炎症性疾患のリスクが高まるので注意です
3. マグネシウム
- 効果: 炎症を引き起こす物質の生成を抑え、筋肉の緊張やストレスを緩和。
- 食品例:
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)
- ダークチョコレート、バナナ
- 緑の葉物野菜(ほうれん草、ケール)
- ポイント: ストレスや偏った食事で不足しやすいため、意識的な摂取が必要です。
4. オメガ3脂肪酸(厳密にはミネラルではないが重要)
- 効果: 炎症を抑制するプロスタグランジンやロイコトリエンの生成を促進。
- 食品例:
- サーモン、マグロ、サバ、イワシなどの青魚
- 亜麻仁油、チアシード、クルミ
- ポイント: 炎症性疾患や心血管疾患の予防に非常に有効です!
ビタミン、ミネラル以外のサポート成分はこちら
- ポリフェノール(抗酸化作用): 緑茶、赤ワイン、ダークチョコレート、ブルーベリー
- クルクミン(ターメリックの成分): 抗炎症作用が強いです。最近ではスパイスカレー屋さんも多くなっているので、足を運んでみるのも良いですね!
- カプサイシン: 唐辛子の成分で軽い炎症抑制作用
栄養で大切なのは、一気に全部を摂ろうとせず、日常生活の中で取り入れやすいものから継続することです。
気負いせず、ちょっとずつで良いので取り入れるようにしていただけたら嬉しいです。
②、筋力不足
脊柱管狭窄では、背骨に近い筋肉である「多裂筋」という筋肉が筋萎縮を起こしていることでも有名です。
多裂筋の役割としては、背骨の向きを調整したり、長時間良い姿勢を取るために関与しています。
専門的な研究機関から「多裂筋」の萎縮や脂肪変性が脊柱管狭窄症の発症や症状の悪化と関連していることが数多く証明されています!
多裂筋の萎縮が日常生活動作や歩行能力の低下と関連していることも証明されており、
・旅行で長時間歩く
・友達と歩いても置いていかれない
・すいすい歩ける
このような状態になるためには「多裂筋」などの筋力を鍛える必要があります。
そして、腰部脊柱管狭窄症の方に対する筋力強化と有酸素運動の併用効果を調査した研究では、
①、ストレッチのみを継続
②、筋力強化と有酸素運動を継続
これらを比較したときに、時間の経過とともに②の方が症状の改善が見られた、ということも示されています。
脊柱管狭窄症と、局所的な低酸素状態は関連性があることが分かっており、有酸素運動は脊柱管狭窄症を回復させる上でも、予防する上でも効果があることが期待できます。
筋肉量が少ない、筋肉を使わないというのは、筋肉の中に酸素を送り届ける割合が当然のように減少します。
できる範囲で良いので、ちょっとずつ動かせると良いですね!
③、睡眠不足
睡眠とは、日中に壊れた体を回復させる上で非常に大切!
そして、栄養不足編で記載した通り、脊柱管狭窄症は炎症と密接に関わっています。
実は、睡眠は炎症を抑える上で、非常に大切な働きをしているんです
睡眠不足と炎症の関係を示す研究は数多く存在し、睡眠不足が体内の炎症反応を増加させ、さまざまな健康問題のリスクを高めることも示されてます
例えば、睡眠不足や睡眠の質の低下は、全身性の炎症や代謝異常を引き起こすと考えられています。また、睡眠不足が続くと、炎症性サイトカインと呼ばれる物質の産生が増加し、これが慢性的な炎症状態を引き起こす可能性があります。
さらに、睡眠不足は免疫力の低下とも関連しており、ウイルス感染のリスクを高めることが報告されています。
これらの研究データから、適切な睡眠を確保することこそ、炎症の抑制や免疫機能の維持に重要です。
普段から寝不足になっていませんか?
もしかしたら、脊柱管狭窄症の要因そのものが、「睡眠不足」から来ているかもしれません。
ここまでで、脊柱管狭窄症の生活習慣で気をつけるべき3つの不足である
・栄養不足
・筋力不足
・睡眠不足
上記をご紹介しました。
最初から完璧でなくて良いので、できる範囲・継続できるように楽しみながら実践してみてください。
お一人では「継続しない、もっと詳しく知りたい」ということであればぜひ我々を頼ってください!日々痛みを抱える不安や恐怖を一刻も早く終わらせましょう
ご相談やご連絡はいつでもお待ちしています。
電話やメール、LINEいずれも対応しているので、連絡が取りやすい手段にてご連絡いただけると幸甚です。
ここまでお時間を取って読んでいただきありがとうございました
少しでも、あなたの助けになることを願って。